ビルの維持管理には、消防法や建築基準法などさまざまな法令が関わっており、専門用語も数多く登場します。
本ページでは、ビルオーナー様が特に押さえておきたい「法令関連の用語」と、お見積りやご契約の際によく登場する「実務用語」を整理しました。
1. 法令関連用語(ビルオーナー様が押さえておきたい用語)
建築物衛生法(通称:ビル管理法)
- 特定建築物
- 建築物衛生法の対象となる建物のこと。デパート・映画館・ホテル・学校・事務所ビルなどで、用途ごとに定められた延床面積(例:商業施設・事務所は3,000㎡以上、学校は8,000㎡以上)を超えるものが該当します。該当する場合、法律で定められた維持管理基準を守る義務が生じます。
- 建築物環境衛生管理技術者(ビル管理技術者)
- 特定建築物の所有者・管理者が選任を義務づけられている国家資格者です。空気環境や給排水などの維持管理計画の立案、測定・検査結果の評価、清掃業者など各業者への改善指示といった、建物全体の衛生管理を統括する役割を担います。
- 空気環境測定
- 特定建築物内の空気の状態(浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・温度・相対湿度・気流の6項目)を定期的に測定する検査です。原則として2か月以内に1回の実施が義務づけられています。
消防法
- 消防用設備等
- 消火器、屋内消火栓、自動火災報知設備、スプリンクラー設備、避難器具、誘導灯など、火災の予防・発見・避難のために建物に設置が義務づけられている設備の総称です。
- 機器点検・総合点検
- 消防用設備等の法定点検の種類です。機器点検は設備の外観や設置状況を確認するもので6か月に1回、総合点検は実際に作動させて機能全体を確認するもので1年に1回の実施が必要です。
- 防火対象物点検報告制度
- 点検結果を消防署へ報告する制度です。報告の頻度は建物の用途によって異なり、飲食店・百貨店・旅館・病院など「特定防火対象物」は1年に1回、共同住宅・工場・倉庫など「非特定防火対象物」は3年に1回とされています。
- 防火管理者
- 一定規模以上の建物の管理権原者(所有者など)が選任を義務づけられている資格者です。消防計画の作成、消火・避難訓練の実施、消防用設備の点検管理などを行います。
- 自動火災報知設備(自火報)
- 火災の熱や煙をセンサーが感知し、建物内に警報を発する設備です。「じかほう」と略して呼ばれることが多く、消防用設備等点検の主要な対象設備の一つです。
建築基準法(定期報告制度)
- 定期報告制度
- 建築基準法に基づき、一定規模以上の建物について専門家による定期的な調査・検査を行い、その結果を特定行政庁(都道府県・市区町村など)へ報告することを義務づけた制度です。「特定建築物定期調査」「建築設備定期検査」「防火設備定期検査」「昇降機等定期検査」の4種類があります。
- 特定建築物定期調査
- 建物の敷地・構造・防火・避難施設などの状態を専門家が目視や打診などで調査するものです。劇場、病院、学校など不特定多数が利用する建物が対象になります。
- 建築設備定期検査
- 換気設備、排煙設備、非常用照明設備など、建物に設置された設備の機能を検査するものです。
- 防火設備定期検査
- 防火扉や防火シャッターなど、火災の延焼を防ぐための防火設備が正常に作動するかを検査するものです。
- 昇降機等定期検査
- エレベーターやエスカレーターなどが対象で、安全装置の作動状況などを専門家が検査するものです。
- 特定行政庁
- 建築基準法に基づく建築確認や定期報告の受理などを行う、都道府県または建築主事を置く市区町村の長のことです。
電気事業法・労働安全衛生法
- 自家用電気工作物
- 600ボルトを超える高圧・特別高圧で受電する設備など、電気事業法で定められた電気工作物です。多くのビルが該当し、保安管理の義務が課されます。
- 電気主任技術者
- 自家用電気工作物の保安の監督を行う国家資格者です。事業者はこの技術者を選任し、その監督のもとで点検・保守を行う義務があります。自社での選任のほか、外部の電気保安法人へ委託することも可能です。
- 保安規程
- 自家用電気工作物の維持・運用について定めた自主的なルールで、電気主任技術者の職務や点検の方法などを記載し、経済産業省へ届け出る必要があります。
- キュービクル(受変電設備)
- 電力会社から送られてくる高圧電力を、建物内で使用できる電圧に変換する設備一式を金属製の箱にまとめたものです。多くのビルの敷地内や屋上に設置されています。
- 月次点検・年次点検
- キュービクルなど自家用電気工作物の代表的な点検です。月次点検は稼働させたまま外観確認などを毎月実施し、年次点検は原則として停電させたうえで絶縁抵抗測定などの詳細点検を年1回実施します。
2. 見積もり・ご契約でよく使う実務用語
設備保守・点検
- 法定点検
- 消防法や建築基準法などの法律で実施が義務づけられている点検のことです。実施しないと罰則や是正指導の対象になる場合があります。
- 任意点検
- 法律上の義務ではなく、故障の予防や設備を長持ちさせる目的で任意に行う点検のことです。
- 予防保全・事後保全
- 予防保全は故障が起きる前に部品交換などを行う保守の考え方、事後保全は故障が発生してから修理・交換を行う考え方です。見積書では、どちらの方針で保守契約を組むかによって内容や金額が変わります。
- POG契約・フルメンテナンス契約
- 主にエレベーターの保守契約の種類です。POG契約は定期点検と消耗品交換のみを含み、大きな部品交換は別途費用が発生します。フルメンテナンス契約は部品交換や修理費用も月額料金に含まれる契約形態です。
- 経年劣化
- 設備や建材が、年数の経過とともに自然に性能や外観が低下していくことです。見積書で修繕の必要性を説明する際によく使われる表現です。
警備・防災
- 常駐警備
- 警備員が建物内に常時滞在して警備を行う方式です。
- 巡回警備
- 警備員が複数の物件を車両などで巡回し、決められた時間に見回りを行う方式です。常駐警備に比べて費用を抑えられます。
- 機械警備
- センサーや監視カメラなどの機器で異常を検知し、警備会社の管制センターに通報する方式です。異常時には警備員が駆けつけます。
- 防災センター
- 建物内の防災設備(自動火災報知設備や放送設備など)を集中的に監視・操作する拠点のことです。大規模な建物に設置されます。
契約・見積書でよく使う用語
- 一式
- 見積書の単位でよく使われる表現で、複数の作業や材料をまとめて1つの項目・金額として計上することです。内訳が知りたい場合は遠慮なくご相談ください。
- 現地調査(現調)
- 正式な見積書を作成する前に、担当者が実際に現場を訪問して建物の状況を確認することです。
- 相見積り(あいみつ)
- 同じ工事や契約内容について、複数の業者から見積りを取り、内容や金額を比較することです。
- 概算見積り・本見積り
- 概算見積りはおおよその金額感をつかむための簡易な見積り、本見積りは現地調査などを経て算出する正式な見積りです。
- 諸経費
- 現場管理費や交通費、事務手続きにかかる費用など、個別の作業費以外にかかる経費をまとめた項目です。
- スポット対応・定期契約
- スポット対応は必要なときだけ単発で依頼する形態、定期契約は月次・年次など決まった周期で継続的に依頼する契約形態です。
※点検の頻度や基準など法令に関する内容は本ページ作成時点の一般的な情報です。実際の対応にあたっては、最新の法令・自治体の運用をご確認のうえ、当社担当者までお問い合わせください。